胃ろうを在宅介護で続ける条件

 介護休暇が残り2カ月となった頃、今後の介護をどうするか真剣に悩んだ。

 友人で、同じようにお母さまが胃ろうだった人がいる。彼女は、週に4日ほどショートステイ、あとはヘルパーさんと訪問看護でやっていた。

 ショートステイも考えた。しかし、90歳を迎えた母は、急速に弱り、毎週ショートステイで車で移動は、体力を消耗しそうだった。ショートステイの施設では、基本的に昼間しか看護師は配置されない。痰の吸引は昼間の時間しかできないので、頻回に吸引の必要のある状態では難しい。いつなんどき具合が悪くなるかわからない状態では、リスクが高い。

 実は、あるショートステイ施設の相談員さんが親切で、施設内の雰囲気もよかったので、契約も交わし、復職後は火曜日から金曜日までお世話になる予定だった。

 しかし2月の厳寒期に発熱がほぼ毎日起こり、急変があった場合のリスクを考え、療養病棟に入院を申し込んだ。

 在宅で胃ろうを続けられないのは、胃ろうを行えるのが、看護師か、家族のみと定められていることも大きい。私たちが住んでいる地域では、訪問看護師は、体温測定、血圧測定、健康観察、アドバイスなどで、胃ろうはしてくれない。 

 栄養分の注入を朝晩2回にすることも考えたが、2回目の胃ろうのペグの交換の入院時に試してもらったが、量が多くなり、げっぷが上がってくることが多かった。誤嚥の危険も高まるので、無理はしないことにした。

 ヘルパーさんでも胃ろうへの栄養分の注入ができるようになれば、状況は大きく変わると思う。

 昼食分だけ注入してもらえば、朝晩は家族ができる。訪問入浴を頼めば、在宅介護は十分続けていけるだろう。

 9月半ばに退院し、2月下旬に入院するまで、母の栄養分と薬剤の注入は、デイサービスに行く日を除いては、私がすべてやっていた。

 代わってくれる人がいないことや、衛生管理に神経を使い、最初の2カ月は非常に疲れた。だが、人間慣れるもので、後半はそれほど負担にも感じられなかった。しかし、やはり、私が倒れたら、母はどうなるんだ、という緊張感は常にあった。

 介護者に脳出血が多いという記事を読み、ほんとかどうかわからないが、ありそうな話だなあと思っていた。

 家族の負担は大きい。一人では難しい。家族内に協力者がいれば負担はかなり減るだろう。だがやはり、家族以外のヘルパーなどの介護者でも、胃ろうへの栄養分の注入を可能にするのが一番だと思う。